沖縄では、美しい自然とともに、独自の文化が今も息づいています。その文化を語る上で欠かせないのが「旧暦」。
農作業や漁業は月の満ち欠けによって左右されるため、旧暦は生活に密着した暦として使われてきました。伝統行事や祭も旧暦にもとづく行われるものが多いこともあり、現在でも多くの伝統行事が旧暦に基づいて行われています。
月の満ち欠けをもとに作られた暦「旧暦」
旧暦は、月の満ち欠けを基にして作られた暦。現在広く使われている「太陽暦」(太陽の動きをもとにした暦)とは異なり、季節の移り変わりをより細やかに感じられると言われます。
その特徴としては、大きく次の2つが挙げられます。
新月が月の始まりになる
旧暦は月の満ち欠けが基準の暦です。具体的には、新月になる日を1日、その翌日を2日……と数えていき、次の新月の日を翌月の1日とします。
季節とのずれが生じる
1年が12ヶ月なのは現在の暦(グレゴリオ暦)と同じですが、月の満ち欠け(新月から新月までが約29.5日)を基準とした旧暦では1年間が約354日です。したがって、太陽を基準とした「太陽暦」と比べると1年が約11日短いので、季節にずれが生じます。
季節と暦のずれが大きくなって、約1ヶ月分のずれが生じてくると「閏月」を入れて修正していました。
沖縄の主な旧暦行事一覧
それでは、沖縄の代表的な伝統行事を旧暦とともに紹介していきます。
※表は右にスクロールできます
旧暦1月の伝統行事
旧暦 | 行事 | 内容 |
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1日 | 正月 (ソーグヮチ) | 旧暦の正月。 朝に「若水」を神仏に供える。 |
2日〜5日 | 初起し (ハチウクシ) | 仕事始め。 豊作や豊漁を祈願する。 |
4日 | 火の神迎え (ヒヌカンウンケー) | 火の神(ヒヌカン)が天から人間界に帰ってくる日。 |
7日 | 七日節句 (ナンカヌスク) | 菜雑炊(ナージューシー)を神仏に供え、食べる。 |
2〜13日 | 年日祝い (トゥシビー) | 生まれ年と同じ干支の年を祝い、健康祈願をする。 |
16日 | 十六日祭 (ジュールクニチー) | あの世の正月。 お墓参りをして、先祖供養を行う。 |
20日 | 二十日正月 (ハチカソーグヮチ) | 正月の終わり。 この日までに正月飾りを片付ける。 |
旧暦2月の伝統行事
旧暦 | 行事 | 内容 |
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上旬 | シマクサラシ | 悪疫払いの集落行事。集落に結界を張り、悪霊(ヤナムン)を払う。 |
15日 | 二月ウマチー (ニングヮチウマチー) | 農耕の豊穣祈願と感謝祭。 |
吉日 | 春の彼岸 | 先祖供養を行う。 |
旧暦3月の伝統行事
旧暦 | 行事 | 内容 |
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3日 | 浜下り (ハマウリ) | 女性が浜辺で身を清め、健康を祈願する。 |
15日 | 三月ウマチー (サングヮチウマチー) | 麦の収穫祭。 |
吉日 | 清明祭 (シーミー) | 先祖供養の行事。 親族が本家の墓に集まって重箱料理を供え、お焼香の後、皆で料理を食べる。 |
旧暦4月の伝統行事
旧暦 | 行事 | 内容 |
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吉日 | 畦払い (アブシバレー) | 田畑を害虫から守るための行事。 豊穣を祈って虫を乗せた舟を沖合いに流す。 |
旧暦5月の伝統行事
旧暦 | 行事 | 内容 |
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4日 | 四日の日 (ユッカヌヒー) | ハーリー(競漕)を行って豊漁祈願をする。 |
5日 | 五月五日 (グングヮチグニチ) | 健康祈願と厄払いのため、仏壇に甘菓子を供え、食べる。 |
15日 | 五月ウマチー (グングヮチウマチー) | 稲の初穂祭。地域によってはウマチーの中でも五月ウマチーだけ残っていることも。 |
旧暦6月の伝統行事
旧暦 | 行事 | 内容 |
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15日 | 六月ウマチー (ルクグヮチウマチー) | 稲の収穫祭(稲大祭)。 綱引き行事を行う地域もある。 |
25日 | 六月カシチー (ルクグヮチカシチー) | 新米で強飯(カシチー)を作って火の神(ヒヌカン)や仏壇に供え、新米の収穫を祝う。 |
旧暦7月の伝統行事
旧暦 | 行事 | 内容 |
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7日 | 七夕 (タナバタ) | 墓掃除を行ってお盆の案内をしたり、衣類の虫干しをしたりする。 |
13日 | 精霊迎え (ウンケー) | 夕方から迎え火を焚き、里帰りした先祖を迎える |
14日 | 中日 (ナカヌヒー) | 分家の人々が先祖代々の位牌(トートーメー)を祀る本家を訪問し、先祖と楽しく過ごす |
15日 | 精霊送り (ウークイ) | 念仏踊り(エイサー)とともにあの世に戻る先祖を見送る。 |
旧暦8月の伝統行事
旧暦 | 行事 | 内容 |
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8日 | トーカチ | 88歳の長寿祝い |
10日 | 八月カシチー (ハチグヮチカシチー) | 小豆を入れた強飯(赤カシチー)を火の神(ヒヌカン)や仏壇に供える |
8〜15日頃 | 妖怪日 (ヨーカビー) | あの世に帰りそびれた悪霊(ヤナムン)を払う。 |
10日前後から2週間 | 柴差し (シバサシ) | ススキや桑の葉で作ったお守りを家や庭に飾って、家に結界を張る。 |
15日 | 十五夜 (ジューグーヤー) | 小豆をつけた吹上餅(フチャギ)仏壇や火の神(ヒヌカン)に供え、月拝みをする。 |
吉日 | 秋の彼岸 | 先祖供養を行う。 |
旧暦9月の伝統行事
旧暦 | 行事 | 内容 |
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7日 | カジマヤー祝い | 97歳の長寿祝い。 |
9日 | 菊酒・菊御酒 (チクザキ・チクウザキ) | 菊の葉を浮かべた酒を仏壇や火の神(ヒヌカン)に供え、無病息災を祈願する。 |
旧暦10月の伝統行事
旧暦 | 行事 | 内容 |
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1日 | 竈廻り (カママーイ) | 集落の火災予防 |
旧暦11月の伝統行事
旧暦 | 行事 | 内容 |
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冬至 | 冬至 (トゥンジー) | トゥンジージューシーを火の神(ヒヌカン)や仏壇に供え、食べる。 |
旧暦12月の伝統行事
旧暦 | 行事 | 内容 |
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8日 | 鬼餅 (ムーチー) | 月桃の葉で包んだ餅を供え、それを食べて健康祈願をする。 |
24日 | 御願解き (ウグヮンブトゥチ) | 火の神(ヒヌカン)が家族の1年間を報告するため天に戻る日。竈周辺の掃除を行う。 |
29日 | 年の夜 (トゥシヌユール) | 旧暦の大晦日。 |